EQを弄らないローの出し方!○○を混ぜて重みを出そう!


-導入-

二回目の更新となる今回は音を変えずにローを出す方法をご紹介します。
近年の半音下げチューニングが主流となり7弦、ロングスケールギターも特に珍しくならなくなった中で
低域の調整に躓く人も多くないと思います。

こんな方におススメ

  • 音作りはうまくいったはずだがローが足りていない、でも音自体は変えたくない
  • 全体で聞くとベースとギターに隙間があるが、これ以上いじるとバランスが崩れる
  • 歯切れがいい音が好きだが、ロー(5,6弦)を使ったパートだけ薄くなってしまい気になる
  • ブレイクダウン(テンポを落として低音を強調するようなパート)の時にもっと重さを出したい
  • 手持ちのギターのローのサステインが無い
  • 御託抜きでローを出して気持ちよくなりたい

メタルやハードな音楽のみならずクラブ系でも”しっかりしたローがあるが、くどくなくスッキリしていて圧がある”
というサウンドが最近の流行なのかなと思います。

では今回は何か?

DIです

またクリーンかという方も混ぜてうまくいかなかったという人も、
前回とはまた少し違ったアプローチとなるので、最後まで読んでいただけるとうれしいです。

前回を読んでいなかった方はこちらへ
(※今回の説明では少し省いている箇所があります)
ハイゲインでも分離よく!-激しい歪みには○○を!


-概要とアンプのクリーンとの違い-

前回の方法でローが足りないからといってクリーン/クランチ側の音をただ上げるとあからさまな音になってしまうと思います。
そこで今回はこのAndrew wadeの動画を参考にして、ローのみ抽出し付け加えていこというのが今回のアプローチです。

再生すると元の音と混ぜたものが出てくるかと思います。
初めが混ぜていないもの、次が混ぜている状態です。
音質があまりよくないので少しわかりづらいかと思いますが、低域がぐっと出てるのがわかると思います。

動画はブリッジミュートの時にローが足りないという状態からスタートしてクリーンを足していきます。
そして前回との違いはDIデータそのものを使ったアプローチという事です。
動画でWade氏が述べている箇所があるのですが、
DIから獲られるローというのは、何も増幅されていない最も素に近いクリーンなもの、という点です。
どんなにクリーンな音をアンプ側で作ろうと増幅させる際に少なからず歪んでしまうのがアンプというものです。
歪んだローが悪だ!ということではなく、そういった音が収まらない、何か違う、といった時にこのDIを使うという手段です
もちろん、歪んだローの方がよいという場合もあります。選び方としては、どの帯域のローを出したいかで使い分けしていくとよいかと思います。
なのでアンプのクリーンを混ぜるのともまた若干違う手法であるということです。

ちなみにEQで低音上げれば一発でしょ?意味ないのでは?という方もいると思いますが、EQは「すでに在る物」を操作できるのであって、
いくらローがない音源のローをブーストしたところで微々たる物です。
なので今回は根本的に存在しない部分を付け足してあげるというアプローチになります。
そうすることで後々EQでいじったりと言うふうにもできるわけです。

Andrew wade氏はA Day to Remember、The Ghost Inside、Neck deep、Her Name in bloodなどパンク、メタルコアなどを中心に活躍しています。
個人的にはWage warのBlueprintsのローの出がえげつないくらい素晴らしいのでおススメです。リリース予定の新譜も彼が担当しているようです。
別のインタビュー動画では、ほぼ完全に独学で始め仕事をするようになったと言っているので、今回のアプローチもそれらしい手法だなと思います。

Wage War – The River (Official Music Video)

下記で詳しく紹介していきますが、今回は短い動画なので興味があれば英語がわからなくても頭から見ればなんとなくわかるかと思います。


-導入方法-

今回もアンプシミュレーターの使用またはDIデータが保存されている事が前提で進めていきます。
前回同様DIがないという方はDIを確保できる状態でもう一度取り直す、別録りでDIのみ生成してみるのも手かと思います。

何も気にせずずべてのトラックを録り終えたら、コピーしてアンシミュ等をすべて取り除きます。
はじめにコンプを入れて調整していくのですが、例としてWade氏の設定を見ていきます。

Ratio: 11.1
Attack: 287.1マイクロ秒(※ms表記では0.3msくらいです)
Release: 80.0ms

スレシはGRが-18db過ぎるか過ぎないかくらいにしてゲインで元に戻している感じです。Auto gainとかがあるコンプはそれを使ってもいいと思います。

狙いとしては、kneeも0なのでピックキングアタックを潰す音量を一定にするという事なのだと思います。
ギターのロー自体がベースなどと比べると些細なものなのでリリースは若干早めにしてるなかなと。

次にEQを挿します、ローパスだけなので好きなものでかまいません。
Wade氏は135hzに18dbのカットを入れています。ここはギターにも楽曲にも好みにもよるので、
自分がほしいローだけが聞こえるくらいにすればいいと思います。

後はギタートラックを聞きながらローのみのフェーダーを弄っていけばいいです。
基本的にこれだけです。


-注意点-

前回同様、位相問題はついて回ります。
この位相問題のおもしろい特徴なのですが、”ハイよりもローにおいて顕著に現れる”という点です。
ローの方が一周の波形が長くなる故の効果です。
足したからといって必ず1+1=2にはならないが、必ず2にしなければならない訳ではない、というのが音の難しいところです。

前回から同じく位相の記事をリンクしておきます
マルチトラックレコーディングにおける位相問題をおさらいする

なのでこういったミックスやアプローチは、録音後しっかりと音作りをし自分なりに完璧だと判断してから
すべて書き出し別トラック、プロジェクトで行うのが一番だと思います。

動画は途中で切れてしまっているので、Wade氏が位相について述べている箇所は無いのですが、気を使うに越したことは無いと思います。


-実例-

今回も僕の1st EPから二曲目Kill -9のブレイクダウンパートを使ってみようと思います。

以下使用機材です。

ハイゲインバッキング

ストンプ:TSE808 2.0 by TSE audio
アンプ:The NSb Amp by Vadim taranov
キャビネット:DV mark C412 & marshall 1960A IR by 3 Sigma Audio (NadIR by Ignite Amps)

使用機材

ギター: RG7421 by Ibanez
バッファー: Sound Stabilizer vⅡImpedanceSelect by EVA電子
シールド: ANALYSIS PLUS pro yellow oval & Mogami 2534

今回はFabfilter製品を使いました。
Wade氏のコンプを参考に設定を真似しC2でRatioが11.1:1のアタックとリリースは早め、
ハイカットもProQでばっさり140より上は切ってしまいました。
そしてこちらが比較となる音源です
今回はギター単体と、全体での印象を見るための音源を用意しました。

[サンプル]

(※若干音が小さめです)
まずはこちらがメインのみの音
そしてこちらがローを足したもの
ミックス全体での素の状態
全体でのローを足したもの
.

気持ち上げ目で取り入れてみたのですが、超低域なのでヘッドホンやちゃんとした環境で聞かないと
なかなかハッキリとした違いが分かりづらいことになっています。(ギター単体のみで足したやつの方が若干分かりやすいかも知れません)
両者ともボーンボーンとした低いローが付加されて、全体的に詰まった印象になりながらも元のキャラは保っています。
さらに気になっていたローのサステインの無さが改善されているのが分かるかと思います。
鳴りが良いギターなら露知らず、お手頃価格の7弦ギターとなると如何せんそうもいかなくなっており
同じ悩みを持つ方もいるかもしれません。

全体で聞いてもギターとベースに境が埋められて、一発目の音のインパクトと重さが増した印象になったかと思います。
実のところEP収録時には時間がなかったのでこの手法はとらず第一回のクリーンを混ぜるアプローチのみでした。
一応二年半前に作った音源ではこのアプローチを使ってベースとの隙間を埋める事ができたのですが
今聞くと稚拙な部分が多々あるので気持ち半分程度に聞いていただければと思います。


-結果-

問題点として
位相を気にし始めるともう手に負えなくなってくるのでこれも自分の中で大まかでOK!という踏ん切りをつけないとなかなか先に進めませんでした。
位相はメインのギタートラックにあわせるというよりもベースの位相に対して気を使ったほうが良いかと思います。完全に打ち消しあってしまった場合スカスカになる恐れがあります。
個人的にはギター側のローを下げ目にして完全に独立した低音補助トラックとして扱う方が効果が獲易かったですが、ギターのステムトラックに入れて扱う手もあると思います。
何かと気にする箇所が多くなるアプローチであったので、根気よく作業する必要がありそうです。
今回試してみてEP収録時にも取り入れておけばよかったと少し後悔しつつも、難し過ぎて少しばかり億劫になるアプローチでした。
しかし、獲られる効果は大きいです。

良い点として
ギター一本ではうまくコントロールしきれない、足りない部分の低音が独立して動かせるので色々と融通が利く
という点ではかなりよい手法かもしれません。原音を使っているので元の音が全く崩れることがないのもやはり大きなポイントであると思います。
EQでローをあげてもあまりいい印象にならなかったり、かと言ってアンプ側であげると下手をすると音そのものが変わってしまう、低音付加プラグインではコレジャナイ感がぬぐえない等…
このようなことは多々経験があったので要所でつかえばかなり効果的かと思います。
また、完全に独立していますのでオートメーションを簡単に分かり易く書ける、部分的に(ブレイクダウンのみ等)このアプローチを置く、超低域のみに処理をする
といったことが出来る、目で見て一発で分かるのは強みであると思います。前回のクリーンを足すアプローチで満足いく低音が出なかった方は取り入れてみるとよいと思います。
今回は7弦ドロップAを例に出しましたが、スタンダートチューニングでも問題なく効果は発揮できると思います。

気づいている人もいるかと思いますが、今回のアプローチはWavesのRbass、Maxbassがあれば
ある程度同じようなコントロールは可能です。(これらは倍音を補強し低域が増えたように聞こえるようにする、コントロール出来るプラグインです)
似てはいますが仕組みが全く違いますのでプラグインなどを試してしっくりこない場合こちらの方法を頼るというのがよいかと思います。

また今回やらなかったのですが、コンプの部分をリミッターとかにしてもありかも?とも思いましたので試してみるといいかもしれません。

というわけで低音厨になって強い音を出していこう!という記事でした。
ご意見、ご質問、自分でもやってみた等報告
なんでも結構ですので気軽にコメント欄お使いください。
今回も最後まで目を通して頂きありがとうございます!

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