ディストーションのローをよりタイトにする!?○○の使い方!


-導入-

第四回目の更新となる今回はエレキギター、特にハイゲインやディストーションの軽いミックステクニックの紹介です。
第二回でも述べましたが近年流行の「タイトな圧のあるロー」というサウンドにより近づけるためのアプローチです。

こんな方におススメ

  • いい音でを録音出来たはずなのに、ブリッジミュートの時だけコンプが歪むことに気づいた。
  • ローがモコモコしてしまうが、アンプ側のBass、Gainを下げたくない。または下げると迫力がなくなる
  • クリーン、クランチ(またはアコースティック)だけども、EQでローを弄るとスカスカになるのが気になる
  • デモ用にミックスをしたい。本格的にする必要はないし、時間をかけたくない
  • 低域を気にし過ぎるとコードを引いたときにぺらぺらになる

それらを解決する為に今回は

マルチバンドコンプレッサーを使用します。

※VSTやプラグインの比較記事ではありません


-概要とマルチバンドコンプのメリット-

今回はこちらの動画と下記のインタビューを見て行きたいと思います

動画を見るとなにやらパラメーターがローの出具合に応じて上下しているのが見えるかと思います。
まずマルチバンドコンプとは、簡単に言ってしまうと、任意の周波数に別々の設定のコンプをかけることが出来るプラグインで、
パラメトリックEQの各ノブがコンプになっている物、といった方がピンと来る方もいるかもしれません。
個人的にはEQに大分近いコンプという解釈でよいかなと思います。それ故にメーターが上下していた訳です。
音作り的な役割も果たせるので、
前回の記事では、ベースのミドルが出た瞬間にミドルだけ押さえ込んでキツめのドンシャリを作ったということになります。

そんな面倒な事しなくてもEQで良いのでは?という意見もあると思います。
EQというのは常に一定の音域を一定の量で増減させるというものですが、
マルチバンドコンプは、一定の音域内で入力が大きい時は大きく削り、弱い時は何もしない、または掛かりが弱くなる
といった事が可能なわけです。
EQではペラペラになり過ぎるが、押さえ込まないとローが暴れるなどという場合とても便利です。

一例として
サビはジャカジャカコードを弾くがそれ以外のパートでは開放弦のブリッジミュートのフレーズが軸となる曲があった場合、
EQをサビにあわせると外の部分でボコボコローが出てきて全体が聞こえづらくなるが、ブリッジミュートで調整するとサビがスカスカになる。
しかもブリッジミュートと言えど、フレットや弦、右手の位置が違うだけでローの出方が大分変わります。
そうなってくるともうEQにオートメーションを細かく書くしかない、という事になってしまいます。

しかし、そんなことをしなくても今回の方法なら秒で全てを解決でき、より安定するというわけです。
この動画はJoey Sturgisというエンジニアのものなのですが、実はこのマルチバンドコンプを使ったローへのアプローチは(自分が知る限り)
Andy Sneapというエンジニアがインタビューでミックスについて答えたのが発端かなと思います。
その後メタルギターの処理に置いて今では当たり前のように色々な人が使っていると思われます。
元のサイトはもう消えてしまっているのですが、こちらがそのインタビューのコピーです
Andy Sneap reveals some of his Techniques

上のインタビューでギターのローの処理についてSneap氏は
60hz以下はカットしローミッドである120から300あたりを押さえ込むことでローエンドを安定させ、全体を整える
と述べています。
”Andy Sneap氏のC4のプリセット”としてネット上に出回っているものがこちらとなります。元のページは消えてしまっているのですが、
本人がネットに上げていた画像らしいです。

Andy Sneap氏は言わずと知れたメタルのプロデューサー、エンジニアで、モダンメタルサウンド確立には欠かせない人物であると思います。
とくに海外ではSneap氏の音の研究サイト、フォーラムまで多数存在するほどの支持を受けており、SDXやEZmixなどからプリセットも出ているので、
名前を見かけたことがあるという人も多いかと思います。
手がけたバンドは有名どころだけでもMegadeth、Killswitch engage、Testament、Arch Enemy、Machine Head等々
書き切れないほどあるのでリンクを張っておきます。
Andy Sneapのクレジット一覧


-実例-

文字ばかりだとやはりよく分からないと思いますので今回も実例を聞いていきましょう。
今回もEPの<defunct>からのソロ直前の一部のバッキングフレーズを例にしていきます。

こちらがマルチバンドコンプを入れていない状態です。

素の状態

イヤホンなどで効くとかなりローが鬱陶しくなっている状態です。経験のある人は、こういう箇所かとピンと来ると思います。
原因としてはコードフレーズを軸に音を作りすぎた所為ですね。
大体の場合ここでアンプの設定をいじる人もいるかと思いますが、一度録音してしまったものの音は返られません。

では以下のプラグインを使って行きましょう。今回もC4以外はフリー配布物ですので、気になった方は試してみてください。
比較記事ではないので、厳密にプラグインの設定を同じになる様にしていません。
個人的にこんなもんかなぁ程度に設定しましたので、フリー配布プラグイン、C4以外のプラグインでも
再現が出来るということのご紹介です。

プラグイン
  • C4 by Waves
  • C3 multiband compressor
  • TDR Nova by Tokyo Down Lab

そのほか使用機材、音作りのプラグインに関しては第一回の方に書いてありますので、
気になる方は目を通してみて下さい。
第一回:ハイゲインでも分離よく!-激しい歪みには○○を!-

[C4]

今回の記事のおおもととなる、Andy Sneapが使っているとされているWavesのC4です。
設定もインタビューや記事を参考に自分で適当に調整し以下のようにいました。

以下設定とサンプル

[TDR Nova]

最近話題のフリー配布の多機能EQです。機能が多すぎて全ては紹介できないのですが、
基本的にマルチバンドコンプと動揺に指定したの帯域の入力に左右されて掛かりが変わるようになっています。

以下設定とサンプル

[C3 multiband compressor]

前回の記事でもチラッとご紹介したフリー配布のマルチバンドコンプレッサー
UIが弄り辛いのを除けば、細かく設定できますしなかなかよい働きをしてくれていると思います。

以下設定とサンプル

如何でしょうか?
全てのサンプルにおいて、鬱陶しいローの箇所が和らいでいるのが明確に分かると思います。
かといってコンプで無理やり潰したような詰まった音ではなく、キャラクターもしっかり生きています。
C4を使うとSneap氏が公開していた設定をそのまま使えますが、それ以外でも十分に役割を果たしています。
後は個人の好みなので気に入ったマルチバンドコンプを選べばよいと思います。

ちなみに、このアプローチはギターソロでも有効で
速弾きなど低域から高域まで満遍なく使い、高音でチョーキングビブラート、なんてお約束のソロがあったとします。
この時、跳ね上がったローをEQでガッツリ削るとキメのチョーキングがスカスカになってしまいますが、
マルチバンドコンプならローの箇所だけに反応するように設定してあげることができ、チョーキングにもふくよかな鳴りを与えてあげることが出来る
という訳です。

同曲でゲストソロを弾いて頂いたひはらさん(@hihara_gt_DGW)のソロトラックも
なかなか図太く、上下フレーズの差がありましたので、Fabfilterのマルチバンドで結構弄った記憶があります。


-ギターのローミッドについて-

Sneap氏が述べていた「120~300hzにかけて」という帯域についての少し補足です。
実はこの帯域について、Pete thornというプロギタリスト(クリス・コーネルや長渕剛のバックバンド)も彼のこちらの動画で述べています。

動画では
「200から300、350あたり、特に250あたりは大体どんなギターの音でも”曇り“がある部分」
と述べ、270あたりをデモンストレーションとして適当に削っているのが見えます。
彼はそれ以下の低域はハイパスで調整しているようです。

外にも様々なエンジニアが同じような帯域を指摘しており、
この帯域はロック/メタル系のみならず非常に厄介な部分であると、分かっていただけたかと思います。


-まとめ-

軽いデモ用のミックスから本格的なミックスまで幅広く使えるテクニックです。
設定にもそこまで時間をとられることなく、すっきりした音を得られるますし、
ちょっと気になる箇所があるときなどでも、出っ張った箇所にだけ効くので挿しっぱなしに出来るのも利点です。

そして、今回自分でも比べてみてビックリしたのがTDR Novaの凄さです。
C4は定番化していますが2017年半ばから見ると結構古いプラグインですし、良くも悪くもWavesは通すと音がWaves!!って感じになるので
最近の悩みの種だったのですが、これからはNovaを使っていこうかと個人的に決めたくらい音が気に入りましたし掛りも良いです。
Dyna EQも持っているのですがNovaのほうが操作がかなり分かりやすい上に簡単ですね。
改めて思考停止な選択は良くないなぁと思い知らされました。

少し触れました「エレキギターのローミッド」はホントに”曇り”が存在する箇所なので、自分もいつも大袈裟なくらいに削っています。
大体抜けの悪い時の原因がこのあたりにあるのかなと個人的に思います。
しかし削りすぎるとペラペラしてくるので注意が必要です。

というわけで今回も低音厨で差をつけて強い音を出していこう!という記事でした。
ご意見、ご質問、自分でもやってみた等報告
なんでも結構ですので気軽にコメント欄お使いください。
今回も最後まで目を通して頂きありがとうございます!

P.S.
ちなみにBIAS AMPはこのピークが飛び出るところを内臓のコンプでぶっつぶしているので、綺麗に聞こえます。
ローがボコボコ出て気になるという人は、コンプのセクションできつめにかけてあげるとぶっ潰れます。
かけて過ぎるとペラペラパキパキになりますのでご注意を。

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